マタニティ ブルーとは

 マタニティブルー。直訳すれば、「妊産婦の憂鬱」といったところか。誤解を恐れずに言えば、女性の性は因果なもので、産まれたその瞬間から、体の機能の全てが、子供を産むその時のために準備される。嫌も応もない。産む、産まないにもかかわらず、である。全ては女性ホルモンのなせる技と言っても、過言ではない。
 この女性ホルモンがくせものである。出過ぎても、出なさ過ぎてもその人間に多大な影響を及ぼすのだ。マタニティブルーはその代表的なものと言える。待望の赤ちゃんをそのうでに抱きながらも、母親はこのマタニティブルーに襲われる。マタニティブルーは軽いか、重いかの個人差はあれ、母親になった女性全てに襲いかかるのである。

 マタニティブルーは出産を機に、それまで大量に出ていた女性ホルモンが急激に減るために起こる。マタニティブルーの主な特徴は精神面では、情緒不安定、特に、鬱状態に近い状態があらわれる。身体面では、頭痛、めまい、食欲不信、体がだるく、重いと感じるなどの状態となり、産まれたばかりのこどもを抱えて、更に不安がつのっていく。マタニティブルーの恐さはここにある。

 マタニティブルーは本来なら、ホルモンが通常の量にもどるまでの、何日間かのあいだに起こる状態であるが、子育てへの不安や、いままでの生活が一変してしまうストレスから、鬱状態が進行していき、俗に「産後鬱」になってしまうケースがある。最近の悲惨な問題として、乳幼児殺害や、児童虐待にも繋がってしまいかねない恐れもあるので、周囲も単なるマタニティブルーだからと、気のせいだとか、気の持ちようだとか、精神論を持ち出して、本人だけに負担をかけることはせず、子育てを手伝うとか、気を紛らわせてあげるとかの配慮が必要となってくるだろう。